山行報告 剱岳 早月尾根  2998m  平成28年9月3日 4日  

 参加者:CL八十嶋 SL池本順平 記録・会計藤江以住 医療木村創史 尾山敏和 藤井あゆみ 中川博人 計7名
・試練と憧れ
 朝4時30分に集合場所を予定通りに出発、馬場島を目指す。
 ところが到着してみると、駐車場はすでに満車状態であった。車両は400m下流の広場にデポして歩き出す。
 登山口にある「試練と憧れ」の石碑と鎮魂碑に合掌し無事を祈願。
 早月小屋(2224m)は本日満員で3名の小屋泊予定者も寝袋持参・炊事用の水で重装備になった。
 いきなり九十九折れの急登で風もなく、たちまち汗が噴き出してくる。
 以前から見ると板で階段を切ってあり、良く整備されている。
 1000mからは比高差200mごとに小さな道標が設置されている。
 地表から40センチほどの高さで表面はステンレス板に標高を刻印してある。
 これなら豪雪に倒れることもない。謙虚な標識に好感が持てる。
 松尾平から上は更に急な道が待っている。一つ目の試練である。
 辛い登りだが1500mを過ぎると白萩川を挟む対岸の猫又山が美しい。
 1900mの避難小屋跡を過ぎ、小さな池塘が2つ出てくると今日の試練は漸く終わる。
 展望台に着くと小屋は目の前、5月に登った毛勝山、そして赤谷山から続く北方稜線、
 小窓尾根、マッチ箱のピーク、剱尾根とここを目指す岳人憧れの絶景ではなかろうか。
 夕方見事なアーベントロートに岩峰はピンク色に染まった。
 翌朝3時起床、テントは下山まで日干しである。予報は午後から下り坂なので、早くここまで戻らなければならない。
 4時30分に出発。未だ暗いうちから団体ツアーに挟まれ時間をくう。
 森林限界を超えると毛勝三山が次第に朝日に輝きだして綺麗だ。
 尾根は次第に痩せてきて2600mの広場から先は気が抜けない。
 それでも池ノ谷側はマッチ箱のピークの向こうに朝日白馬の連山が、
 そして西側には東大谷を挟み秀峰大日山、その奥に加賀白山、地獄谷の蒸気ガスの向こうには薬師岳の大きな山体、
 その右側には北ノ俣山が顔を見せ、薬師の左奥には黒部五郎、遠くに笠ヶ岳が手に取るように見え、文句なしである。
 アップダウンを繰り返し岩稜帯はエボシ岩の鎖場に入る。
 浮石に気を付けて皆慎重にシシ頭、蟹のはさみと緊張感をもって通過し別山尾根との合流点に到着。
 途端に人の渦で山頂はやかましい。
 山頂から見下ろす池ノ谷二又は残雪が割れて、万年雪の谷と云われてきた面影はなかった。
 ガスが涌きだし天候が気になる。記念撮影を済ませて下山に移る。岩は登りより下りが怖い。
 足元から登ってきたコースが見える。・・遠い・・。さあ、また試練である。
 早月小屋で下山用の飲料水(2L \900)を4本購入。これがなければ馬場島まで地獄である。
 1900m手前から雨になった。シトシト雨から雷交じりの土砂降りとなったが、濡れても心は満たされていた。
 夕方漸く馬場島に着き、「試練と憧れ」の石碑と遭難慰霊碑にこうべをたれ、無事下山を感謝した。
 山を見上げると虹のアーチの奥には小窓尾根、小窓王、剱尾根のドームが夕日に輝いていた。 (文責:中川博人)
 
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